みなさんは年間にどのくらいの新しい薬が登場しているかご存じですか?我が国では40〜50種類の新薬が発売されているそうです。
毎年そんなにたくさんの新薬が生まれているのですが、ひとつの新しい薬が開発されのに10年以上かかるといわれています。
なによりも薬は安全でなければならず、それでいて効果がなければなりません。
しかし、生まれたばかりの薬には保証がありません。
それを確かめるにはテストが必要です。
それが治験(臨床試験)です。
新薬のテストにはリスクがつきものです。
そのリスクを承知して治験に参加する以上、自由意志でそれを選択します。
そして、行動の制約の補償と治験のための交通費などを製薬会社が負担しますから、それは治験者に協力費として支払われます。これが「治験バイト」というものです。
労働をせず、楽をして稼げるというわけで学生には広く受け入れられています。
その人気の高い治験バイトを詳しく説明しましょう。
治験とはどんなことをするのか?
治験と簡単にいってもその内容はさまざまです。
メインは医薬品ですが、食品や化粧品、治療器具などもあります。
ただ、ここでは薬品を前提として話を進めることをお断りしておきます。
新しく開発された医薬品が安全で効果があることを確かめるため、最初は動物実験します。
そして、次の段階として人間に試行します。
これが治験です。
具体的には新薬を服用して、どの程度体に吸収されて、どのくらいの時間が経てば排出されるかを調べます。
そのため、血液検査が欠かせず、同時に血圧や心電図などを確認して副作用などが出ていないかを調べます。
そのため、待ち時間を含めて病院ではかなり時間を費やされます。
これは通院型の治験の場合で、入院型ではさらに検査の数は増えます。
この入院型は短期間(二泊三日〜一か月)で終わりますが、通院型はおおむね長期に渡ります。
月に1,2回の通院で1〜2年、さらには4〜5年かかるケースもあります。
どうすれば治験者になれるか?
治験に直接関わるのは製薬会社、病院、治験者の三者です。
ただ、病院も製薬会社も治験者との接点がありません。
結びつけるルートがないのです。
治験者がいないと治験は成り立たず、それでは新薬の開発が進みません。
そこで、コーディネーターの役割がクローズアップされます。
治験におけるコーディネーターとは、病院 がどのような治験者を求めているかをまとめて広く公募し、治験希望者を募る役目を担っています。
したがって、希望者はコーディネーターに登録することから治験はスタートします。
そうすると、登録者の条件(年齢、性別、健康状態など)に応じた治験募集の情報を知らせてくれます。
最新の治験者募集コーナーもありますから、それを見て応募してもいいでしょう。
両者の希望がマッチすれば病院と治験者をコネクトして、コーディネーターの役割をそこで終了します。
どのようなコーディネーターがあるか
ネットで治験を検索すると、何社ものコーディネーターのサイトがヒットします。
数が多くなると治験の未経験者はどこを選べばいいか迷ってしまいます。
現在、我が国にはいくつものコーディネーターが存在し、治験者と病院をコネクトしています。
それぞれ特徴があり、得意な分野もあるので自分に合ったコーディネーターを利用すればいいのですが、最初はそんなことは分かりません。
そこで、まずはVOB(ボランティアバンク)というコーディネーターを利用することをお勧めします。
ここは50万人以上の登録者がいて国内最大を誇っています。
製薬メーカーとの取引も多く、信頼もおけるのです。
それだけに案件も多く、自分に適した治験を選びやすくなっています。
さらに、健康食品や化粧品もありますから、いきなり薬品というのは少し怖いかもと考えている人にも対応しています。
まずは無料登録して、どのような治験依頼があるのか調べてみましょう。
VOBの魅力
- 安全性の高さ
- 治験件数の豊富さ
- 食品・化粧品の案件もある
業界登録者数No.1
治験がスタートしたら
お互いの条件が合ったところでいよいよ治験がスタートします。
最初は医療機関の担当者との面談から始まります。
治験に用いる試験薬はまだ動物実験を終えたのみで、人体にどのような影響をもたらすかはわかっていません。
もちろん、安全性には十分配慮しており、考えられる危険性はクリアしています。
しかし、体質などの個人の特質がどのように影響するのか不明の部分は残っています。
その結果、思いがけない副作用が表れる可能性もあるため、最初にその点を十分説明してくれます。
もし異常が発見されたらすぐ申告すれば適切な治療をすること、続ける意欲がなくなればいつでも中断できることなどを丁寧に細かく解説し、納得したところで承諾書にサインします。
そして、薬品を服用するケースでは 綿密な血液検査が行われます。
試薬が体内に入ることでどのような影響が出るかを調べるためで、それは毎回行われます。
そして、試薬品を手渡され、どのように処方するかを指示されますから、それに従って服用します。
症状によっては、定められた時間にメールという形で担当者に連絡を取る必要もあります。
決められた内容に答えるだけなので難しくはないのですが、毎日それを継続しなければならず、面倒に感じる場合もあるかもしれません。
もっとも、連絡を忘れたり遅くなったりしても担当者は優しく対応してくれますから、プレッシャーを感じることはありません。
治験バイトを実際に体験してみた
成人病
ここで私自身の治験体験を紹介しましょう。
長年、中性脂肪やコレステロール、γーGTPなどの数値が高く、いわゆる成人病への道をまっしぐらに進んでいました。
軽いダイエットを続けていくらかは正常値に近づいてはいたのですが、このような症状の治験者を募集していることを知り、すぐ応募しました。
前記したような説明をしてもらって承諾し、毎月一回通院という治験がスタートしたのですが、このときは三回で終了してしまいました。
数値が正常になってしまったからです。
そのときの医者の言葉を今でも覚えています。
「治験は終了しますが、正常値に戻ったのだからあなたにとっては喜ばしいことです。その数字を維持するように努力してください」
成人病というのは種々の症状があるから効果的な薬など存在しないと信じて医薬品を服用してなかったのですが、従来にはない試薬品のおかげで正常な体に戻ったのです。
治験にはこのような効果もあることを改めて知りました。
変形性膝関節炎
二回目の治験は変形性膝関節炎です。
スポーツと山登りで私の右膝はかなりダメージを受けており、軟骨がすり減っている状態でした。
膝周りの筋肉を増強することで対応していましたが、せめて痛みが少しでも和らげばと治験に参加したのです。
やはり膝の痛みで治験に参加した友人のAさんは試験薬の副作用で後遺症が残っています。
その点を医療機関の担当者に尋ねたところ、副作用の発症はかつてはまま見られたものの、現在はほとんどなく、早期チェックを行っているので早めに処理するため心配はないと話してくれました。
一回目同様、細かい血液検査から始まり、投薬が始まりました。
月一回の通院で試薬の効果が綿密に調べられます。
今回の治験は担当する病院がやや遠く、片道1時間の所要でしたが、最初から予定していれば苦痛になるほどではありません。
関節炎の場合は自覚する痛みが基準になるため、一回目のように数値が許容範囲内に納まって途中で終了することはありませんでした。
逆に、患部である右膝ではなく左膝に痛みが表れて戸惑ったこともありました。
もっとも、これは前日に行った運動のせいだと分かり、数日間で痛みは解消しました。
二回の治験を経験して受けた感想は、時間の余裕があるならぜひ受けるべきだということです。
症状にもよるのでしょうが、治療費用がかからずに正常な体に戻ったり、痛みが軽減したりといいことづくめなのです。
前述したように、まだこの世に流通してない新薬がはっきりした効能を示してくれる場合もあるのです。
そして、次のセクションで解説するように、少なくはない謝礼金が支払われます。これも大きな魅力といえます。

支払われるのは謝礼金
勘違いしている人が多いのですが、治験で支払われるのはギャラ=報奨金ではありません。
治験に協力してくれたことに対する医薬品メーカーの謝礼なのです。
それがどういうことに関係するのかというと、例えば公務員は原則として副業ができない立場にありますが、謝礼を受け取る分には問題ありません。
また、民間でも低額なら申告する必要はなく、税金はかかりません。
治験者がほかにどのような収入を得ているかによって税金がかかる謝礼金の金額は異なりますから、気になる人は調べてみるといいでしょう。
肝心の謝礼金ですが、通院する場合は平均して一日1万円前後と思っていいでしょう。
入院するケースでは数万円から10万円を超えることもあります。
当然、多額の謝礼金が支払われるのはそれだけ制限が多いからで、食事やアルコール、煙草なども自由にはなりません。
日常とは違った体験をしてみたいと希望するのなら十分耐えられるでしょう。
まとめ
ひとつの例として治験の流れをひと通り紹介しました。
これを見たみなさんは、治験とはこんなものなのかと大まかなところは理解していただけたと思います。
治験を希望する人の目的は大半が謝礼金なので、最後にバイトとして捕らえたとき治験はどのような位置づけになるかを考えてみましょう。
通院の場合の一日1万円は多くの人にとっては魅力的です。
ただ、月一回では収入源として考えたとき明らかに不足しています。
しかし、それ以外の収入を得ようとするとこの治験が足かせになる可能性があります。
つまり、ダブルワークです。
そうなるとほかのバイトとのスケジュール調整が必要になるのです。
その点、入院型は謝礼金が大きく、収入源としては大きな魅力があります。
その分制約が小さくないのはすでに述べた通りですが、耐えられる自信があってスケジュールが合えばこちらを選択するべきでしょう。
ただ、通院型に比べると入院型は案件が少なく、条件に合うものとはなかなか出会えないという問題もあることを知っておいてください。


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